エグゼクティブサマリーの内容のほとんどは、図表で構成される資料になります。様々な情報や、伝えたい事を図解化するには、要約することが必要になってきます。またエグゼクティブサマリーは短い時間で、簡潔に伝えることが重要ですので、どれだけうまく要約できるか?が重要になってきます。つまり、図解化が上手=上手な要約ということになり、図解化ができれば、エグゼクティブサマリーの資料は完成したも同然です。
図解化における3つのポイント
相手に理解される図解とはなんでしょうか?それは、デザインでも見やすさではありません。確かに最終的に見やすい図解が一番ですが、デザインから始めて、パワ-ポイントのテンプレートや、既存のフォーマットに当てはめようとしても、うまく要約できない場合が多いです。
見やすく、理解されやすい図解には3つの共通点があります。
・網羅性…全体の内容を網羅している
・整理されたキーワード…伝えたい主要な項目が抽出されている
・明確な関連性…主要な項目の関連が明らかになっている
何十ページもある文章や論文を1枚にまとめるためには、この3つのポイントを押さえた図解の作成、つまり要点の視覚化が必要になってきます。相手に理解される図解を作成するためのプロセスをお教えします。
付箋紙を使ったキーワードの抽出
エグゼクティブサマリーのベースとなる文章や、図表、データはから重要と思われる項目を抽出していきます。以前に述べたように、いざ選んでいこうにも、キーワードを極限まで絞り込んでいくには、思い切りや、”捨てる勇気”が必要になっていきます。
えいやっと決めてしまうのも一つの方法ですが、KJ法の手法のように、文章中のキーワードを小さな付箋紙に書き出し、纏めていくのも一つの方法です。大事と思うキーワードや、項目は小さな付箋紙に書き出してみます。この時はあまり悩まずに、”とりあえず使えそうな情報”を拾っていく事が大事です。ただし、長い文章はそのまま転記せず、小さな付箋紙にかけるだけの、簡単に要約した文章にします。
キーワードの整理
同じような内容が書かれている付箋紙をまとめていきます。纏めていくうちに、グループの見出しが見えてきます。例えば ”景気が低迷している” ”円高が進行した” ”消費増税が延期になった” ”原油価格が低下している”と書いた付箋紙は、『当社を取りまく外部要因』という見出しを付ける事ができます。
また『当社を取りまく外部要因』の中でも、”景気が低迷している” ”円高が進行した”は「当社に対しての脅威」、”消費増税が延期になった” ”原油価格が低下している”は「当社にとっての機会」という小見出しを付ける事ができます。書き出した付箋紙の中に、見出しや小見出しとなりそうな付箋紙があれば、そのまま使っても構いません。この時点では見出し、小見出しでない付箋紙はそのままグループにまとめておきます。
グループにまとめた後は、元の資料の結論や伝えたい事のストーリーに合わせて、見出しの並びを考え、グループの配置を決めていきます。わかりやすく並べていくと、抜き出したキーワードや要点が、元の文章の目次通りではなく、別のグループに入っていたり、順番も前後する場合もあります。また、配置を考えながらストーリーを見直すこともあります。見出しの付箋紙を移動させながらいろいろと配置を考えてみます。見出し、小見出しの配置が決まった後に、同じグループにあった付箋紙を移動させますが、この際に内容が重複していたり、ストーリーに合わない付箋紙をを取り除きます。
下書きにまとめる
付箋紙の内容を、新しい紙にラフに書き写します。見出しで繋げていくストーリの流れがわかりやすいものか、不要な見出しはないか、各見出しの内容のバランスが整っているかを確認し、多すぎる場合はさらに削り、足りない場合は削った付箋紙から救済してきます。見出しの並べ方も完成形をイメージして、バランスを考えて配置していきます。もしストーリーがしっくりこなければ、もう一度キーワード整理や見出しを考えてみるのもよいかと思います。見出しは”可能な限り”や”なるべく”といったあいまいな表現は避けることが大切です。微妙な表現の見出しは、他の見出しとの関連性があいまいになり、わかりにくくなります。
次回は図解のレイアウトについてです