遅い!壊れる!気持ちいい!ホンダビートの素晴らしい世界!(1)

くるまマイスターの愛車遍歴にも書きましたが、これまでに私は3回ホンダビートを愛車にしています。どんな車かは、こちらを見ていただくとして、ホンダビートの魔力について書いてみたいと思います。

近頃ホンダから軽規格のスポーツカーS660が出ましたが、さかのぼること20数年前に同様のコンセプトでホンダから発売されたのが、BEAT(ビート)です。もっと前には同じ名前のスクーターがありましたが、車の方が後です。二輪と四輪で同じネーミングを使うのは、スズキのハスラーと同じですね。一台目は新車で乗りましたが、1991年の発売当時はアルトワークスやらミラTR-XXやら軽のパワー競争が激しかった時期で、安全面等への配慮から、ビートも本格的なスポーツカーとは名乗れず、”ミッドシップアミューズメント”という、遊園地の乗り物のようなキャッチフレーズと、マニアックすぎて、あんまり売れなかったスクーターの名前で発売されたのに違和感を感じたのを覚えてます。新車スクープ雑誌の予想では、S660が有力だったんですが…まあ、実力からすれば、S(エス)を名乗らなくてよかったなとは思います。

軽にしては非常に高価だったにもかかわらず、発売当初は生産が間に合わず1年以上の納車待ちになったりしましたが、実用性がほとんどない車ですので、需要が一巡したあとは、ぱったり売れなくなり、1996年の生産中止までの販売台数は、たしか3万3000台ぐらいだったと思います。同じようなコンセプトのカプチーノが2万6000台ぐらい、AZ-1が4000台ぐらいの販売台数(薄い記憶)だったので、今でも街で見かける機会を考えると、20年以上後のビートの残存率は高いのではないのでしょうか?(私のご近所でも、数台います)ホンダは比較的古い車の部品の供給を続けてくれるので、維持しやすいのもありますが、確実にビート偏愛者は一定数いるということでしょう。 そんな、ビート偏愛者の理由を私の独断と偏見でまとめてみました。

(1)スタイリング

いびつな軽規格の寸法の中で、フロントからリアに無駄なラインを入れずにまとめたスタイリングは、経年劣化しないスタイリングで、クラシックフェラーリの隣に並べても遜色ない。と思う。一説によれば、ピニンファリーナ案ともいわれてますが、前ヒンジで空くボンネットとか、サイドのエアインテークとか、スーパーカー世代の琴線をくすぐるデザイン。カラーは軽ナンバーの黄色が目立たないのと、小さくて車高が低く、周りの車から視認されにくいので、黄色が一番似合うと思ってます。唯一気に入らないのは、フロントデザインがあっさりしずぎていて、間延びしてる点。この時代の他のホンダ顔との共通性と軽の規格が原因なんだろうなぁ。

(2)エンジンとシフトフィール

トルクは低いが、気持ちよく8500回転まで回るSOHCの自然吸気エンジン(E07A)。3連スロットルや、オイルパンのエアフィンとHONDAの刻印、俊敏なスロットルレスポンス等バイクのエンジンを思わせる仕掛けが組み込まれている。シフトストロークは40mmでNSXと同じ。シフトチェンジの際、手首だけで決まる感触は、シフトを苦痛ではなく快楽に変えてくれる。E07Aはいいエンジンなんだが、DOHCだったらなぁと20年以上経ってもまだ、残念に思っているのも事実。やっぱり、HONDAはツインカムでないと…

(3)ミッドシップ

ミッドシップが素晴らしいかというと、そうでもない。室内は狭くなるし、熱いし、二人しか乗れない。ミッドシップがどれだけ貢献するかといえば、軽のパワーと車重なら、別にFFでもスポーツカーはできると思う。ビートは特に安定性に振った運動性なので、余計にそう思えます。端的に言えば、スーパーカーっぽいスタイリングを実現する以外は、まあ無駄なわけです。専用のシャーシ、2シータオープン、生産性の悪い幌、コストの縛り、メーカーからすれば開発者を鍛えるチャレンジですが、一般のユーザからすれば、あまり価値は無いわけです。ところが、偏愛者はそこに”萌える”んですな。ホンダスピリットとかいって。希少車ではないですが、成り立ちが特殊な車は偏愛者をひきつける何かがあります。

(4)低い車高と座面とオープン

車高も座面も、ほんとに低いです。ヒップポイント(地面と座面上端との距離)はS2000が375mm、S660が335mm、ビートは330mmです。ほとんどお尻が地面を滑っていく感じ。車高は、1175mmで隣にダンプが止まると、ダンプのタイヤより低いです(笑)幌を開け、低い運転席に座ると、もう非日常世界です。オープンにしても、盛大に風が入ることはないですが、季節が良い頃のオープンカーの爽快感は格別です。

(5)その他もろもろ

・ルームミラーがNSXと同じ部品

・本田宗一郎最後の4輪車

・軽自動車初のSRSエアバック装着(が選べた)

・運転席が25mmオフセットされてる(助手席が狭い)

・ステレオが車速連動で音量が変化した(うるさいから聞こえなくなるので(笑))

まあ、この辺は普通の方にはどうでもいい事ですが、偏愛ポイントに加算される内容ですな。エンツォ・フェラーリが最後に出した車がフェラーリF40に対して、本田宗一郎がビートって。まあ似合ってる気がしないでもないですが… とーっても素晴らしい車に思えますが、次回はビートのダメダメなポイントについてです。

くるまマイスターの愛車遍歴

  11月26日に第3回「くるまマイスター検定」があるようです。私も子供のころから、自動車が好きだったこともあり、第1回の「くるまマイスター検定」を受験し、2級3級に合格しました。2級は、なかなかマニアックな問題もあって、試験終了後は落ちたかな?と思いましたが、受かってました。2回目以降1級が設定されたので、時間があればチャレンジしてみたいですね。私も趣味の知識の力試しとしては、いい経験になりました。 18歳で免許を取って以来、自動車はずっと所有してきました。学生時代の下宿生活では維持も大変だったのですが、体育会で必要だったこともあり、バイトで何とかやり繰りしてました。そんな私の愛車遍歴をご紹介します。

①スズキ 初代セルボ(SS20)

大学の入学祝で、ボロボロの中古を購入。軽の2サイクルエンジン、RRだったので、運転席の後ろからスクーターみたいな音がします。高校時代に軽自動車とは思えないデザイン(アルファロメオ等で有名なジウジアーロ)に感動し、免許取得と同時に埼玉の中古車販売店に予約した覚えがあります。初の愛車ということで、浮かれ過ぎ、購入後2週間で池袋駅に向かう途中で、信号を見落としタクシーと衝突。廃車になりました…

②ホンダ 初代トゥディ(JW1)

姉のおさがり。安全運転を学んだ反省グルマ。丸目でスタイリングも洗練されてて、わりと好きな車。ただ遅かった…(たしか30馬力ぐらい)後部座席を倒せば荷物が満載できるため、合宿やスキーでは大活躍するも、高速道路の登板車線でトラックに煽られる常連(笑)弟の大学合格時に、弟に譲りました。

③ホンダ 4代目プレリュード(BA4)

兄のおさがり。シルビアとともに、一世を風靡したデートカー。4WSという後輪を操舵する機構がついていることよりも、追い越し車線を、音楽を聴きながら走れる普通車のゆとりがうれしかった。熱海の登り坂の途中でクラッチが滑り始め、20km/hぐらいでしか走れなくなったり、小雪降る箱根の峠でスピンして、登り車線にいたはずなのに、下り車線にいたりとか、この車も坂に弱い車でした(笑)

④ホンダ ビート(PP1)初号機

会社に入って、人生初の新車。発売当初は大量のバックオーダがあったみたいですが、地味なシルバー色を選んだのと、予約を入れていたので3か月の待ちで納車。オープンカーとよく回る気持ちのいいエンジン、実際の速度+30㎞/hのゴーカート感覚にどっぷりハマるも、正丸峠でホイールを割ったり、当時の同乗者から不満が出る等の事情で止む無く乗り換え。

⑤三菱 初代パジェロミニ

スキ-熱、アウトドア熱が再燃し、乗り換え。車高も高く、街乗りには便利だったが、オフロードのギア比、高回転ターボもあって、遠出の際の高速道路で燃費がスポーツカー並みの7km/Lを割り込んだのと、4WDから異音が出た際に、ディーラー対応が悪く、乗り換え。

⑥ホンダ 初代CR-V

パジェミニにうんざりしていたころに、ディーラーの新年セールでその年の最初のご契約で購入。人生初のオートマ/4ドア車。軽量クロカンでならではの乗用車並みの乗り心地、広さで家族にも親族にも好評。肝心の4WDはイマイチで、豪雪でスタックした際に助けて頂いた方に「4WDじゃねーのかよ」と吐き捨てられる始末。だってアーバンカウボーイですから。

⑦ホンダ ビート(PP1)弐号機

同乗者といろいろあり、再びシングルになったため、中古で再購入。前回選びたかったイエロー。アルミ、レカロ、マフラー、サスペンション等々の交換やDIYでの改造にどっぷりハマる。エアコンの故障、横浜市内でのガードレール自損事故で車体購入金額を超える。単身で横浜から九州一周したり、抽選で当選して富士スピードウェイを走ったのは良い思い出。一番愛着のあった一台だったが、友人に売却。大事にしてくれているだろうか…

⑧ホンダ S2000(AP1)

相模原のホンダ中古ディーラーで展示してあったイエローの低走行距離車に一目ぼれ。リアスクリーンがガラスになった前期型のマイチェン後モデル。ビートは比較できないパワフルさ(あたりまえ)に戸惑いを覚えつつ、車庫入れで気を抜くと、すぐエンストするビート並みの低速トルクのなさにビックリ。静岡への転勤を挟んで、台風の中F1日本GPを見に行ったり、新しい同乗者が見つかったり、数々の移動最短時間記録を作りつつ、処々の事情で後部座席が必要になったため次の車の下取りに。

⑨ホンダ シビックタイプRユーロ(FN2)

雑誌等でデザインが気になっていたユーロシビックが導入されるとの話を聞き、詳細不明のままディーラーで予約。リーマンショックで延期になったりしたが、無事にレッドの一台が納車。フィットベースのため、2ドアでも社内は広々だが、イギリス生産のため内装等はイマイチ。いつかは乗ってみたかったタイプRだったが、S2000の方が吹っ切れており、中途半端な印象だった。次の車の購入資金として、最近某買取会社に売却。

⑩ホンダ ビート(PP1)参号機

引っ越しで駐車スペースが増えたため、ビート欲しい熱が再燃。実家の近所の中古車店で、リペイント、新品幌、CPU交換済のイエローの出物を見つけ、2年前に増車。かれこれ20数年以上前の車なので、リフレッシュと維持を中心にDIYで手を入れています。コンビニでエンジンがかからなくなり、5分後に自然に直ったりします(笑)S660に心揺らぎつつも、一生モノで維持していきたいと思っている一台。ホンダが部品を供給してくれますように…

⑪ホンダ N-ONE

納車前。ビート購入後、ほとんどシビックに乗らなくなり、同乗者も自分で運転できる軽にチェンジ。人生初のCVT車。 ほぼ、ホンダ車ですね(笑)ビート情報はまたの機会に投稿します。