Amazon Primeのサービス拡充にみる超囲い込み戦略 ~Prime Musicを使ってみた~

Amazonプライムのおさらい

皆さんはAmazonプライムの会員になっていますか?私も事務用品、クルマのメンテナンスパーツ、猫のエサやグッズ、生鮮以外の食料品や飲料なんかを中心に、平均月2回程度は利用しているので、プライム会員になっています。ネットショッピングの場合は、楽天やほかのサイトでも確認して、商品の価格が簡単に比較できるので、Amazonは微妙に値段が高い時もあるので悩むますが、ついついAmazonのプライム対象商品で「お急ぎ便」を選択してしまうこともあります。

さて、Amazonのプライム会員は配送料の特典も含めて、下記のメリットがあります

  1. 無料の配送特典(対象商品のお急ぎ便およびお届け日時指定便が無料)
  2. 特別取扱商品の取扱手数料が無料(Amazonプライム対象商品は、特別取扱商品の取扱手数料が無料)
  3. 家族と一緒に使い放題 (会員本人のほかに、同居のご家族を2人まで家族会員として登録できる)
  4. プライム会員限定先行タイムセール(タイムセールの商品を、通常より30分早く注文できる)
  5. Amazonパントリー(食品・日用品を中心とした低価格の商品をひとつから必要な分だけ、ひと箱あたり290円の取扱手数料でまとめて購入できる)
  6. プライム・ビデオ(映画やTV番組が追加料金なしで見放題)
  7. Kindleオーナー ライブラリーの利用(対象タイトルの中からお好きな本を1か月に1冊、無料で読むことができるKindleオーナー ライブラリーをご利用できる)

配送の時間指定無料サービスから始まったプライム会員サービスですが、年会費を横ばいのまま、様々なサービスを拡充してきています。

その中でも特筆すべきは、今年9月に始まったプライム・ビデオの映像コンテンツ見放題サービス。さらに、11月18日から始まった、音楽ストリーミングサービス「Prime Music」でしょう。

Prime Music 100万曲以上が聴き放題~使ってみた~

お気に入りの楽曲や音楽の専門家が選曲した数百のプレイリストが、追加料金なしで再生できるサービスで、ストリーミングだけではなくダウンロードでも再生でき、広告も入らず、プレイリスト上の曲飛ばしも可能です。実際使用してみると、楽曲については新旧、洋楽・邦楽あわせてそこそこ揃っていますが、手薄感はあります。特定のアーティストやジャンルを聴き込む人にはは物足りないかもしれませんが、プレイリストはなかなか楽しく、ドライブや作業中のBGMといった、有線放送やラジオのノリでライトに音楽を楽しんでいる人には向いていると思います。スマホでもアプリ提供しているので、iPod派(iPhoneではない)の私でもスマホで音楽を聞く機会が増えそうです。

なぜプライム会員のサービスで提供するのか?

こうしたサービスをプライム会員のサービスに付与し、映像と音楽のコンテンツを事実上無料提供するAmazonの戦略意図は何でしょうか?通常は新しい価値提供に対しては利用者に対価を求め、別サービスとしたり、プライム会員費用の値上げを考えるのが普通です。

プライム会員の囲い込みを行う
Amazonは、通販サイトを世界13カ国で展開している。新規に進出する国では、プライム会員の拡大戦略は容易だが、北米やイギリス、ドイツ、日本等での売上が多くを占めるため、プライム会員の囲い込みの戦略が必要になってくる。「Prime Music」もアメリカ、イギリス、ドイツ、オーストリア、日本の順で提供を開始しており、Amazonが浸透し、競合が激しく売り上げが頭打ちになりそうな市場をターゲットにしている。日本でも200万人を超えているといわれるプライム会員に対し、付加価値を実質無料で提供することで、プライム会員の価値を上げ、会員の離脱防止や新規会員の獲得につなげていくと思われる。
加入型配信サービスでの競合排除
プライム・ビデオのサービス開始時にも、「NetFlix」(月額650円~)や「Hulu」(月額933円~)との比較が良く行われていたが、月換算で325円で映像だけでなく音楽コンテンツを配信するサービスはユーザーに価格的メリットがある。コンテンツの充実度や、画質や音質での差はあるが、ショッピングでのメリットも加味すれば、有料の加入型配信サービスや、広告型で無料提供するサービス(Amazonは広告が入らない)を提供する競合を排除する事ができる。
ショッピングでの相乗効果

Amazonのコアビジネスであるショッピングにおいても、プライム・ビデオの映像コンテンツ内で使用した商品の販売等で相乗効果がある。音楽(CDやダウンロード)販売は、一旦は無料で提供されるコンテンツによって、影響を受けるだろうが、電子書籍と紙の本が共存しているように、コアな音楽ファンの販売は見込める。また、視聴端末の販売や、オリジナル番組の制作も行うことで、視聴者や聴取者のショッピングへの誘因効果も期待しているでだろう。

 
プライム・ビデオ、Prime Musicのコンテンツライセンス料を中心に相当の投資を行ったはずであり、その投資分を実質無料でプライム会員に提供することは、強者の戦略であり、AmazonがあくまでもEC市場での勝利を目指しており、競合企業に対し優位であるための、攻めの戦略と考える事ができます。
プライム会員を”お得意様”ととらえれば、会費を払い継続的にショッピングを行うユーザへのサービス拡充は当たり前の戦略なのですが、なかなか実行に移している企業は少ないと感じます。
 
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