プレゼンの必勝法!書いていますか?エグゼクティブサマリー(第3回)重要な図解のテクニック[その①]

エグゼクティブサマリーの内容のほとんどは、図表で構成される資料になります。様々な情報や、伝えたい事を図解化するには、要約することが必要になってきます。またエグゼクティブサマリーは短い時間で、簡潔に伝えることが重要ですので、どれだけうまく要約できるか?が重要になってきます。つまり、図解化が上手=上手な要約ということになり、図解化ができれば、エグゼクティブサマリーの資料は完成したも同然です。

図解化における3つのポイント

相手に理解される図解とはなんでしょうか?それは、デザインでも見やすさではありません。確かに最終的に見やすい図解が一番ですが、デザインから始めて、パワ-ポイントのテンプレートや、既存のフォーマットに当てはめようとしても、うまく要約できない場合が多いです。

見やすく、理解されやすい図解には3つの共通点があります。

 ・網羅性…全体の内容を網羅している

 ・整理されたキーワード…伝えたい主要な項目が抽出されている

 ・明確な関連性…主要な項目の関連が明らかになっている

何十ページもある文章や論文を1枚にまとめるためには、この3つのポイントを押さえた図解の作成、つまり要点の視覚化が必要になってきます。相手に理解される図解を作成するためのプロセスをお教えします。

 

付箋紙を使ったキーワードの抽出

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エグゼクティブサマリーのベースとなる文章や、図表、データはから重要と思われる項目を抽出していきます。以前に述べたように、いざ選んでいこうにも、キーワードを極限まで絞り込んでいくには、思い切りや、”捨てる勇気”が必要になっていきます。

えいやっと決めてしまうのも一つの方法ですが、KJ法の手法のように、文章中のキーワードを小さな付箋紙に書き出し、纏めていくのも一つの方法です。大事と思うキーワードや、項目は小さな付箋紙に書き出してみます。この時はあまり悩まずに、”とりあえず使えそうな情報”を拾っていく事が大事です。ただし、長い文章はそのまま転記せず、小さな付箋紙にかけるだけの、簡単に要約した文章にします。

キーワードの整理

同じような内容が書かれている付箋紙をまとめていきます。纏めていくうちに、グループの見出しが見えてきます。例えば ”景気が低迷している” ”円高が進行した” ”消費増税が延期になった” ”原油価格が低下している”と書いた付箋紙は、『当社を取りまく外部要因』という見出しを付ける事ができます。

また『当社を取りまく外部要因』の中でも、”景気が低迷している” ”円高が進行した”は「当社に対しての脅威」、”消費増税が延期になった” ”原油価格が低下している”は「当社にとっての機会」という小見出しを付ける事ができます。書き出した付箋紙の中に、見出しや小見出しとなりそうな付箋紙があれば、そのまま使っても構いません。この時点では見出し、小見出しでない付箋紙はそのままグループにまとめておきます。

グループにまとめた後は、元の資料の結論や伝えたい事のストーリーに合わせて、見出しの並びを考え、グループの配置を決めていきます。わかりやすく並べていくと、抜き出したキーワードや要点が、元の文章の目次通りではなく、別のグループに入っていたり、順番も前後する場合もあります。また、配置を考えながらストーリーを見直すこともあります。見出しの付箋紙を移動させながらいろいろと配置を考えてみます。見出し、小見出しの配置が決まった後に、同じグループにあった付箋紙を移動させますが、この際に内容が重複していたり、ストーリーに合わない付箋紙をを取り除きます。

下書きにまとめる

付箋紙の内容を、新しい紙にラフに書き写します。見出しで繋げていくストーリの流れがわかりやすいものか、不要な見出しはないか、各見出しの内容のバランスが整っているかを確認し、多すぎる場合はさらに削り、足りない場合は削った付箋紙から救済してきます。見出しの並べ方も完成形をイメージして、バランスを考えて配置していきます。もしストーリーがしっくりこなければ、もう一度キーワード整理や見出しを考えてみるのもよいかと思います。見出しは”可能な限り”や”なるべく”といったあいまいな表現は避けることが大切です。微妙な表現の見出しは、他の見出しとの関連性があいまいになり、わかりにくくなります。

次回は図解のレイアウトについてです

 

 

プレゼンの必勝法!書いていますか?エグゼクティブサマリー(第2回)簡潔にかつ必要事項を必ず入れる

第1回の各項目をもう少し詳しく書いていきましょう。

今回は「①簡潔にかつ必要事項を必ず入れる」です

資料の目的により、必要な情報は異なる

事業計画書、報告書、製品やソリューションの提案等資料の目的もいろいろあり、その目的によってエグゼクティブサマリーに必要となる内容と網羅性は異なるでしょう。報告や研究発表等であれば、既に結果の出ている内容や、大量のデータをわかりやすく要約するのが一番ですし、事業計画書や提案書であれば、相手に伝えたい事、お願いしたい事が簡潔に伝わるかが最も重要になります。

また、提出先が、社内なのか社外なのかでも、変わってきます。社内の場合は、相手は良く知っている人間ですし、伝える内容における前提や課題も共有している事が多いと思います。エグゼクティブサマリーにおける前段の説明は簡潔にすることができ、本編の割合を増やす事ができます。ただし、内容に対する質問や興味の深度も深いものになる場合が多いので本編とのリンクはきちんと整理しておいた方が良いでしょう。一方、社外の場合は、初見の相手に説明するケースも多くあります。内容の前提や、説明者や会社の紹介なども必要になることもあるでしょう。その分本筋に割ける資料スペースも時間も減りますので、より簡潔にまとめることが大切になってきます。

相手によって、資料のトーンを変える。

ビジネス資料には必ず提出先があります。社内の会議資料や、社外でも不特定多数に向けた資料の場合は、誰にでも理解できるよう情報を整理し、要約していく事になります。一方、提案や企画書におけるエグゼクティブサマリーの場合は基本的には特定のキーマン、相手の意思決定者から理解を得て納得させる、いわゆる”ササる”資料が効果的です。

”ササる”資料には何が必要でしょうか?それは、相手の情報です。営業職であれば、提案の前には様々な情報を相手先から入手していると思います。”回りくどい説明を嫌う”とか”データで裏付けされていないことは信用しない”等々のキーマンの好みを踏まえて、資料全体が相手に受け入れやすいトーンにすることが必要です。ここで言う”トーン”は説明しにくいのですが、実際の資料の色調とかではなく、資料全体で相手が受ける”印象”や”雰囲気”ととらえてもらえれば良いかと思います。理路整然、事務的で冷たくすら感じる資料が”ササる”場合もあれば、”努力・友情・勝利”のような少年ジャンプ風熱血資料が”ササる”相手もいるでしょう。

社内であれば、気にいらないサマリーは、上司が優しく指摘してくれるので良いのですが、社外の場合は案件の予算や、条件等と合わせて、エグゼクティブサマリーを作成するためのネタを意識して集めましょう。差し障りの無い範囲で、相手先の会社の社内資料のまとめ方を参考にさせてもらったりすることもお勧めです。他の相手に対して、今までに成功したエグゼクティブサマリーを流用したり、社内のテンプレートを使用する場合も多いかと思いますが、相手に合わせてカスタマイズしていく事で、相手に”ササる”確率は上がります。

情報の絞り込みを行う

資料ボリュームはA4で2枚、A3で1枚を目標にします。テキストで伝える内容、図や表で伝える内容を絞り込んでいきます。別の回でも書きますが、図表の活用はエグゼクティブサマリーでは大きなポイントですので、テキストのみで伝える内容は限られてくるはずです。伝えたい内容をキーワードや短文にして書き出し、優先順位を付けて整理するやり方もあります。

この時に、帰納法的な考え方(様々な事象や事実をあげて、共通する結論を導き出す方法)だと、情報量が多くなり、結論がぼやける感じがします。演繹法(一般的な大前提→小前提→結論、いわゆる三段論法)で考えた方が相手にメッセージも届きやすく、コンパクトにまとめやすいと思います。ただ前項で述べたように、資料のトーンは相手の好みや、その会社独自のルールもありますので、ご参考までに。

隠し事やウソはダメ

情報の優先度をつけていくと、お願いしたい事、伝えたい事でスペースが埋まってしまい。都合の悪い情報は優先度が下がり、エグゼクティブサマリーから抜けてしまう事もあります。相手は重要な意思決定を行うための情報をエグゼクティブサマリーに求めていますので、意思決定の判断に重要な影響を及ぼすネガティブな情報を(故意ではないにしろ)抜いてしまうと、それを隠したと受け取られ、信頼を失います。また、エグゼクティブサマリーに、本論とかけ離れていたり、書いていない内容を記載することはウソになってしまいます。相手に”ササる”事だけを意識して、ついつい美辞麗句を並べてしまわないように注意してください。

エグゼクティブサマリーについて、もっと知りたい方はお気軽にお問い合わせください!

「自分は営業に向いていない」とあきらめる前に【第3回】お客様のいう事はすべて正しい

少し時間が空いてすみません。これからは、営業職にとって一番大切なお客様とのコミュニケーションについて書いていきます。

先輩の机にあった置物に書かれた言葉

営業に異動になって、当時指導していただいた先輩の机の上に、小さな石のような置物があり、その石には、第1原則「顧客はいつも正しい」、第2原則「たとえ顧客が間違っていると思っても、第1原則を読み返せ」と書いてありました。海外のお土産だったらしく原文は英語で書かれていました。見た当時は、「三波春夫の(お客様は神様です)的なビジネス金言か。どこでも同じようなことを言うもんだ。」とあまり感動も共感もありませんでしたが、様々な業種での営業経験を積み重ねるうちに、私にとっては大切な言葉になりました。でもこの言葉、言葉通りにとらえると、三波春夫の言葉と同じく、今では違和感があるかもしれません。

スチュ-・レオナードというスーパー

さて、この言葉、後で調べてみると「スチュー・レオナード」というアメリカ・コネチカット州の有名なスーパーの経営ポリシーでした。

RULE1 「THE CUSTOMER IS ALWAYS RIGHT」(お客様は常に正しい)

RULE2 「IF THE CUSTOMER IS EVER WRONG REREAD RULE1」(お客様がもし間違っていたらルール1.を読み直しなさい)

Stewleonard社 HP(下の方にPolcyRockが掲載されています。この形の置物でした)

米ウォルマートや日本のイオンのような巨大チェーン店ではなく、4店舗しかない家族経営の地方のスーパーです。ところが、ポリシー通り常にお客様の要望を取り入れ、お客様を楽しませる仕掛けや良質な商品構成で、他のスーパーとは一線を画す高粗利率の経営を行い、世界中から多くの視察が訪れる有名なスーパーだそうです。HPには子供を楽しませる仕掛けや、豊富な試食があるとの事なので、さながらディズニーランドのようなお店のようです。

ルール1 お客様は常に正しいのか?

営業活動の中で、お客様から無理難題、時には理不尽な事を要求されることはよくあることです。そんな時「客なら何を言ってもいいのか?何でもいう事を聞けばいいのか?」という疑問もあると思います。お客様と営業は決して”王様と奴隷”の関係ではありません。「お客様が正しい」というのは、お客の言動や要望がすべて正しいという意味ではなく、「お客様がいなければ、そもそもビジネスが成り立たない。お客様の声を常に聴き、受け入れ、行動する」という事だと思っています。

ただ、お客様の中には、自分のストレス発散のため、意図的に貶めようとするクレーマーのようなお客様もたまにはいます。今回は触れませんが、本来は対等な商取引の場を、「お客様は神様」と金を払うほうが上だと立場の上下にすり替えてしまうお客様には、ケースバイケースでの対応が必要です。

ルール2 お客様が間違っていたら?

お客様の無理難題や要求を「お客様が間違っている」と感じたときには、それは自分の考えや、自分の会社の方針と異なっているからです。お客様がビジネスの中心であるならば、ルール1の戻り、なぜお客様が理不尽なことを言うのか?要望が受け入れられないのはなぜか?を再度考えるべきです。お客様にはお客様の都合があり、自分や自社のルールには合わせませんし、お客様の都合もどんどん変わっていきます。IT関係ですと、お客様の方が変化に敏感で、先進的な場合もありますし、ITをきっかけで経営を変えたいを思っているお客様も多いと思います。常に、自分が間違っていないか?という意識を持ち、無理難題の中に潜んでいるお客様の変化を読み取って、お客様との関係を適切なものにするのが営業の大きなミッションだと思います。

売ってやらないという特権

「お客様に買ってもらうのは大変だ」「これだけ契約しないと今月は目標未達だ」最初からこんな頭の中で、お客様と接していれば、お客様との関係も「お願いですから買ってください」という”王様と奴隷”の雰囲気になってきます。”王様と奴隷”の場合、王様からの言葉は命令になってしまい、コミュニケーションは成り立ちません。お客様と対等なパートナーとなるには、営業の”下から目線”を変える必要があります。幸い、営業には「こんな客には売ってやるものか」という特権があります。誤解が無いように言えば、実際に無理難題を言うお客様に売らないわけではありませんし、横柄にふるまったり、威張れと言ってるわけではありません。あくまで、”売ってやらない特権”が営業にあるという意識を持って、お客様に接するだけで、お客様と対等なスタンスでコミュニケーションを深めることができると思います。

お客様は常に世の中のトレンドを勉強し、他社と比較しています。お客様の声にはコンサルティングの報告と同じくらいの価値があります。お客様とお互いに信頼した関係で、コミュニケーションが取れる営業の意識を大事にしてください。

「お客様は神様です」の正しい意味

少し外れますが、三波春夫の「お客様は神様です」も決して、”お客様がお金を払ってくれるから、お客様を神様のように扱う”ではありません。この言葉が間違った意味で広まってしまったのも、お客様側の”買ってやる”意識が根深くあるんでしょうね。

「歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って、心をまっさらにしなければ完璧な藝をお見せすることはできないのです。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。だからお客様は絶対者、神様なのです」

出典:三波春夫オフィシャルサイト 「お客様は神様です」について

営業活動で、お客様から「お客様は神様だろ」と言われたら、正しい理由を教えてあげましょう(笑)

 

次回に続く

自分は営業に向いていない」とあきらめる前に【第2回】営業職は数字がすべて?

第2回は営業職にとっては切っても切れない(数字)の話です。営業職以外でも、数字目標(例えば人事部だと新卒の採用数とか、資材部だと仕入価格低減率とか)を持っている部署はあるでしょう。それでも、営業職の持っている数値の厳しさは、数値をクリアできる営業は優秀、できない営業はダメ営業とはっきりと評価されてしまうことでしょう。どんなに上司の覚えが良くても、社内の人間関係が良好でも、肝心の受注が獲れなければ、営業職での昇進は遅れたり、できなかったりするのが普通です。その人の人間性や、仕事のプロセスの評価はされず、予算の達成率だけで評価される営業職。書いてるだけでもイヤになってきますね

営業はノルマに追いかけられる

受注額、契約数、利益率、新規開拓数といったところが営業の目標数字=ノルマでしょう。不景気や、ライバル会社との競争に打ち勝ってお客様からこれらの数字を勝ち取ってこなければいけません。当然月別、期別、年度別の達成率が社内で厳しくフォローされ、未達成だったりしようものなら、定例報告会議の席上で、幹部や上司から叱責されたりします。(大抵、大声出すのは、営業経験のない幹部ですけど)既存顧客や代理店を相手にするルート営業の場合は、数字の変動が無く、注文取りや納品がメインで、お客様の信頼を維持する事の方が重要なので、数字のプレッシャーは若干軽減されますが、新規開拓営業は大変です。一生懸命やっていても、数字ができなければ、”あいつは仕事をさぼっている”なんて疑いがかかったりします。出来高制の給与体系だったりしたら、給与は下がるわ、怒られるわで踏んだり蹴ったりです。うーん、また書いていてイヤになってきました。

営業の数字に潜む会社の楽観主義と精神論

さて、なんで数字が未達成になるか?一つの要因は<もともと無理な数字>ということが良くあります。会社全体の方針と経営指標における数値目標が定められ、それに対し会社の各部門の目標が決まっていきます。ところが、社長が「3年後に利益を倍にする」と言い出せば、短絡的に<売上を2倍にすれば利益は2倍>ということで、めでたく営業部門の受注目標が2倍になります。営業部門は「市場環境が悪い」「営業要員が不足している」等々はかない抵抗を試みますが、大抵は「為せば成る」幹部に押し切られて目標数字を受け入れる羽目になります。他部門は(社長が言い出して大変だねぇ~)と同情はするものの、「受注は営業の仕事」と言わんばかりに、ほっかむりを決め込みます。

本来は効率的な社内事務による経費削減や、魅力的な製品の開発や仕入れ、営業人員への配置転換等でも利益率は上げられるので、各部門にそれぞれ目標数字があるはずなのですが、営業の数字だけが上がることになります。営業の幹部には、「ハードルは高ければ高いほどやりがいがある」という体育会系ノリと、「そのうちなんとかなるだろう」という植木等ノリの方々も相変わらず多くいるので、あっさり数字を引き受けちゃったりして、根拠のない無茶な数字だけが営業部門に課せられることになります。そして、上から降ってきたノルマの上積分については、各部署の営業人員数で頭割りして分配されたりします。飲み会の支払いじゃあるまいに…。

無理な数字とはいえ、理解は必要

極端な例だったかもしれませんが、程度の差はあれ、営業部門の目標数字は大抵実力以上の要求を会社側から求められるケースが多いです。ただ厳しい経営環境の中、会社の目標として市場やシェアの維持拡大は会社が生き残っていく上で重要であり、目標達成のためには、直接お客様と接する営業が大きな役割を担っていることだけは、理解しておくべき事です。本来は、営業の目標数字は、営業部門だけでなく会社として共有され、全社的に営業に対するバックアップが行われるのであれば、営業の数字も”前向きな期待値”となる数字です。営業担当者に与えられた”無茶な数字”も、”できるかもしれない数字”に変わっていく可能性はあります。この辺りは経営層の戦略や組織の問題なので、別の機会にでもお話ししたいと思います。

自分の数字を持つことが大事

目標管理制度等で、成果評価を行っていく会社も多いと思います。当然定量的な目標は会社から与えられる数値目標がベースになると思いますが、個人として目標とする数字は自分で決めてみることをおススメします。この時、前年プラス5%とかエイヤで数字を決めてしまっては、経営層と同じです。自分が担当する地域、製品、顧客の業種、年齢層等々を調べ、マーケットの景況感や営業活動で知りえた情報をもとに、自分がどれだけ契約できるのか?どこまで頑張れるかのチャレンジ分を加味して、自分の数字で持つことが大事です。組織目標とのギャップが出るとは思いますが、言われたからやるのと、自分で決めて目標とするのでは、モチベーションは大きく変わります。達成度が数字でわかりやすいことはメリットになりますから、自分の数字の達成度をPDCAサイクルで確認していけば、俄然営業は楽しくなってきます。

 

次回に続く

 

「自分は営業に向いていない」とあきらめる前に【第1回】営業職を考えてみる

会社生活のほとんどを、営業と営業に関わる企画/戦略に関わってきた経験をもとに、営業についての話をしたいと思います。とはいっても、「トップセールスマンがやっている10の事」とか「このテクニックでバンバン受注が獲れる!」みたいなものではありません。私は、営業のスキルやノウハウは定型化できないと考えています。100人の営業マンがいれば、少なくとも100通り以上の営業手法があります。飛び込みの営業活動もあれば、特定のお客様だけ対応している営業もいるでしょう。お客様との相性や、扱う製品や市場でも、営業手法は異なってきます。とはいえ、やはり成功している営業マンは持っているスキルは様々でも、共通した「心得」「心構え」を持っていると感じます。『営業部署に配属/転属されたけど自分にできるのか?』『営業をやってるけど成績が上がらない。もうやめたい』と思っている方々に少しでも参考になればと思います。

■営業の仕事

営業の仕事は、製品や商品を売ることが唯一無二のミッションです。すべての営業活動は、適正な価格でお客様と合意し、契約書や発注書に判を押していただくことがゴールになります。当然のことながら、ゴールまでの道のりにはエベレスト登頂ぐらいの困難さもあれば、宝くじに当たるぐらいのラッキーなケースもあるでしょう。営業の仕事は(売ること)ですが、それは同時に(お客様に買っていただくこと)ですので、どうしたら買っていただけるかを考え、それを実行するのが、営業の仕事といえます。お客様へのアプローチ~契約までには、様々なプロセスとそれを成し遂げるスキルが必要になってきます。

■営業に向いている人

営業に向いている人、営業で成功している人の一般的なイメージは「明るい」「人当たりがいい」「しゃべりが上手」といったところでしょうか。確かに会話能力が必要である職種だとは思いますが、営業は会話能力だけで勝負が決まるものではありません。朴訥な人柄でも、お客様に信頼され優秀な成績を上げている人もいればや、明るくて話題が豊富な営業でも成績はさっぱりというような人もいます。

「押しが強い」「交渉力がある」というのも、営業に向いていると良くいわれますが、イマドキは「押し」と「情熱」だけでは、お客様から鬱陶しがられ、契約はいただけないでしょう。こういった営業のステレオタイプなイメージは根強く残ってますし、私が入社した1991年の頃は、義理人情に厚く、熱く営業論を語る情熱的な先輩が多く、モノを売るということが、営業の精神論で語られる時代でした。お客様に「必要ない」といわれても食い下がり、競合会社を出し抜いて受注を取る。鋼の精神力を持ってないと、営業はできないと思われていましたし、当時の上長や先輩にもそういう空気の下で教育されました。

■営業は体力勝負

実際、私が入社した当時は大学の体育会出身者、スポーツ系の部活やサークルで活躍して会社に就職した人は、強靭な精神を支える体力があるということからか、営業職に配属になるケースが多かった気がします。言葉は悪いですが(勉強はできなくても、体力と精神力があれば営業には向いてる)ということだったような気がします。

私も大学時代に体育会(といっても、ライフル射撃という超マイナースポーツ)の主将をやっていましたが、入社前に『配属は絶対営業だろう』と思っていました。ところが、私自身も営業職を希望してましたにも拘らず、実際には工場の総務に配属されました。入社前の適性検査で向いているという判断だったらしいのですが、納得せず会社に掛け合い、工場の業績低迷による配置転換というラッキー(?)もあって、入社後2年ほどで営業に転属となりました。工場の9時~5時という規則正しい勤務とは異なり、新規開拓の外回りや、打ち合わせ、納入立ち合いや接待等々で不規則な勤務時間となり、確かに体力勝負であるなと感じたこともありました。

ただ仕事に慣れてしまえば、不規則な中でも規則性を見つけ(休む時は休む)と自分でメリハリを付けた時間の使い方ができるようになり、楽になってきました。私自身も強靭な体力があるわけではありませんが、限られた体力を有効に使うよう心がければ、他の職種と比較しても、体力が必要というわけではありません。

こうしてみると、営業にはだれでもなれますし、どんな方でも向いていると思います。会社が営利目的である以上、総務や管理といったスタッフのような職種でも、いつ営業になっても良いように、製品、サービスを売り込む営業力はビジネススキルとしてあった方が良いとも思います。

一方、営業職は避けられがちな職種でもあります。営業職への転属が懲罰人事的に行われるケースもあります。理由の一つは営業の避けて通れない宿命でもある【仕事の成果が、受注額という明確な数字で表れる】ということでしょう。次回はこの点についてお話ししたいと思います。

 

電力自由化!静岡の電気はどこと契約したらよいかを考えてみる(3)携帯会社

第3回はTVCMでもおなじみ?の携帯会社の電力プランです。中部地域では、Docomoが中部電力と提携しているため独自サービスが無く、au(KDDI)とソフトバンクの2社になります。

両社共通して言えるのは、

  • 自社の携帯電話の加入者もしくは加入が前提
  • 携帯料金、固定光回線等からのセット割

というところです。個人的には携帯がソフトバンクなので、auは加入できませんが、一応ご参考までに前回と同じ条件で算出してみました。

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固定回線の割引は含まず。

電力からの割引は基本的に無し

両社とも基本料金も電力量料金も中部電力と同じです。上表ではソフトバンクが同額になりますが、ソフトバンクHPでのシミュレーションでは、中部電力より高くなります。ソフトバンクは二段階の電力量料金で、月120kwh以下の単価が高いので割高になるはずです。(計算間違えているかも)どちらにしても、中電管内は基本的にどこの新電力でも同額になりそうですね。ソフトバンクについては、60Hz地域でも東京電力からの供給になりますが、FITでんきプラン(再生可能エネルギー)と称して自社の太陽光発電での電力を売っています。多少プレミアムを払ってでもエコロジーな電力を購入したい要望向けの選択肢になっています。

■わかりにくい割引とシミュレーションには注意

auは電力使用量に応じて電気料金の1%、3%、5%をキャッシュバックするシステムです。実際の年間電気使用量が分からないと、正確な割引がいくらになるかはわかりません。また、電力を使えば使うほどお得になる設定には若干の違和感を感じます。ソフトバンクは携帯料金から200円の基本割引があり、加入、更新時と使用量に応じたTポイントの付与があります。

今回の算出で各社の料金シミュレータを使用しましたが、少し意図的な計算になっています。単月の使用量を入力すると、月別の使用量の増減(冷暖房等のピーク使用月)を考慮して年間使用量を算出しているようですが、ソフトバンクは多め、auは若干少なめで算出されます。そのため、特にソフトバンクはかなりお得感がある結果表示になります。実際には各家庭の条件で変動が大きいので一定の目安だとは思いますが、我が家のように、ガス暖房を使用していると冬もほとんど電気の使用量は上がりません。シミュレーション通りの割引が確約されているとは限らず、キャッシュバックは減る可能性もあるので要注意です。

■年間契約に注意

どちらも最低1年間の契約が前提です。契約期間中の解約は、auは違約金2000円、ソフトバンクは解約事務手数料540円がかかります。スマホ料金でも批判されている縛り契約です。何度も言いますが、新電力の選択肢はまだ増えるので、条件でよほど有利になるのでなければ、現状で縛り契約があるものを慌てて契約する必要は無いと思います。

■携帯会社と契約するメリット

携帯会社は発電施設を持っていないので、今後も電気料金で安くなる可能性は低いと思います。特にソフトバンクは東電と提携しているので、心情的にも選びにくいところはあります。既存の電力会社には、”電気を売る店舗”が無いので、携帯各社の店舗を販売の拠点としたい意図があり、携帯会社にとってはARPU(契約者一人当たりの売上)を上げるための商材の確保ができるメリットがあります。ただ、今のところユーザーにとっては、なぜ”携帯会社と電気を契約するのか?”という積極的な理由が見つからず、他の新電力と同等の割引と、携帯料金と合わせて電気代を払える程度の魅力しかありません。正確な割引が契約時に確定できないのに、縛り契約というのも、携帯会社ならではの慣習に見えます。ただ、今後はスマホの過激な販売方法のように、加入時や電力切替時のキャッシュバックが手厚くなったり、携帯料金での割引が増える可能性もありますので、とにかく価格重視で考えたい方は、チェックはしておいたほうが良いかと思います。

■実はブレーカを変えたほうが安い?

ほとんどの方が自宅の電気の年間使用量を把握していないと思うので、カテエネや新電力と契約してスマートメータをつけ、年間使用量を把握してから最終的に判断するのもよいかと思います。実際我が家も購入時に50Aになっていたのでそのままになっていますが、電気暖房や乾燥機、IHヒータは使用していないですし、二人の生活であれば、おそらく40Aぐらいでも耐えられると思います。年間使用量を把握した上で、50A→40Aへ交換すれば、基本料金で約300円/月は安くなるので、新電力の割引より安くなります。

(記事中のプラン、料金計算は2016年3月時点のものです。詳細は各社ホームページ等でご確認ください)

固定電話の受信ができなくなった件<電話で困ったときは113番>

■FAXが送れない苦情

光回線の普及により、最近ではアナログの固定電話を使っている家庭も減っているのではないかと思いますが、我が家ではNTT固定電話(ダイアル)+ADSLを使っています。電話の通話はほとんど使用しないのですが、仕事の関係でFAXも使用しています。先日も取引先からのFAXを待っていたのですが、なかなか来ず、携帯の方に「FAXを何度も送っているが、ずっと話し中で送れない」との連絡。インクジェットの複合機ですが、特に壊れた様子もなく、受話器を上げると、きちんと「ツー」音がします。結局メールに添付して送ってもらいました

■そういえば心当たりが…

昨年の11月に車を買い替えた際も、ディーラーから「自宅がいつも話し中」「車検証のコピーをFAXで送れなかった」と何回か話がありました。その頃は一度ADSLルーター(ADSLスプリッタ兼用)を再起動したところ直ったので、そのままにしてました。また、自宅にセールスやら何やらの電話がかかってくるのですが、最近はパッタリ入らなくなっていました。今年に入ってから、留守電に残っているケースもほとんど無く、最近、電話が受信していないのでは?との疑惑が深まってきました。早速、携帯から自宅に電話すると、

  1. ①携帯側の呼び出し音が一度鳴り、すぐ通話になるが、自宅側の電話機は呼び出しが鳴らず、留守電にもならない。携帯で通話の終了はできる。
  2. 上記の後、再度電話を掛けると、ほとんど自宅が話し中になる。
ADSLは問題なく使え、固定電話からの通話とFAX発信は問題なくできるので、喫緊に問題ではないのですが、困りました。

<対策その①>通信機器を疑ってみる

以前にWiFiルータが壊れて通信不能になったり、前回はADSLルーターの再起動で直ったので、まずは通信機器から疑います。ADSLルータのハード電源On/OFF…直らず。ADSLルータの管理画面からの再起動…直らず。ADSLの電話ポートには複合機の他、TVとBDレコーダをブランチ接続していたので、複合機に直結してルーターを再起動…直りません。ADSLルータを外し、壁の電話モジュラーと複合機を直結してみても状況が変わりません。もしや、複合機が壊れているのでは?

<対策その②>電話機を疑ってみる①

使っている複合機はブラザーMFC-695CDN。最新ではありませんが、まだ十分使えます。メーカーサポートページで状況確認すると、「複合機をモジュラーから外し、自宅に電話してみて話し中の場合は回線に問題がある」との記述があり、試してみると確かに話し中。数回試しましたが、何故か上記(i)の現象が出る場合もあり、ちょっと悩みましたが、NTT113番(電話の故障受付)に電話。113番は留守番電話に状況を入れるとNTTの保守窓口からコールバックされてきます。「NTTの局内と契約番号の間は、問題が無さそう。」「切り分けで自宅に伺うと、もし電話機が原因と分かった場合でも8100円かかります。NTT側の問題があれば無料です」との事。複合機の障害も原因としては考えられるので、とりあえず一旦NTTの要請は保留しました

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こいつが複合機の上が大好きなのも原因か(笑)?

<対策その②>電話機を疑ってみる②

別の電話を接続してみて、使えれば複合機の問題になります。昔の電話機を探したのですが、無さそうだったので、近所のハー〇オフでたまたま1000円で売っていたパナの電話機能だけ(AC電源不要タイプ)の中古品を購入。接続して携帯から自宅へかけてみても、現象は変わりませんでした。中古なので、電話機が壊れている可能性が無いではないですが、電話機の故障の確率は相当低そうです。

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パナのシンプル電話。AC電源無しでも電話が使えるので、今後は停電だと使えない複合機のバックアップに流用します。

<対策その③>ケーブルや配線を疑ってみる

こうなってくると、NTT局側か、配線の断線やショートが怪しくなってきます。一応電話機とモジュラー間のケーブルの交換と、壁側のモジュラージャックの状態(端子の錆や曲がり)を確認。若干ジャックに汚れがあり、無水アルコールで掃除しましたが直りませんでした。モジュラーより先は、壁内の配線になるので、ここで切り分けはギブアップです。

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こいつのいたずらによる断線?

<対策その④>NTT113番に再度電話

いよいよ、自宅についている電話の保安器あたりか、NTT局側が怪しくなったので、再度113番に電話。翌日の午前中早めの時間に保守員のおじさんがやってきました。一応モジュラージャックの場所を見せたのですが、ジャックからケーブルを抜き、携帯で自宅番号に発信して現象を確認。モジュラーに検査機を接続することもなく、「少し外で電話してきます」と出て行った後、待つこと10分ぐらい。戻ってきたら、「局内の交換機モジュールで障害があった」ということで、再度おじさんが電話すると、久々に複合機の着信音が鳴り、留守番電話に切り替わりました。その場は仮対応との事で、局内のモジュール交換が終わったらまた連絡しますとの事で帰りました。昼前には工事完了の連絡があり、NTT側の障害だったので費用も不要でした。うちの福助(黒猫)はおじさんが気に入ったみたいで、飼い主以上に撫でられてました(笑)

通信の障害は、経路や機器が多く、切り分けが難しいのですが、今回は余計な費用をかけずに切り分けできました。複合機も慌てて買いなおさなくてよかったです。とはいえ、最初の113番コールの時に局内の障害はわからなかったのですかね?自宅の電話の発信は、すぐ確認できますが、着信は自覚症状が無く確認もしずらいので、我が家のように数カ月もほったらかしになって、障害に気づかないケースもあるようなので、たまには自宅に電話してみましょう(笑)

 

電力自由化!静岡の電気はどこと契約したらよいかを考えてみる(2)静岡ガス

第2回は静岡の地元エネルギー会社の静岡ガスです。4月からの電力自由化に続き、来年にはガスも自由化され、家庭で利用するエネルギーを自由に選択できることになります。家庭での調理、お湯や暖房の「熱」利用については、電気よりもガスの方が効率が良く、原発の夜間余剰電力前提のオール電化より、現状ではエコであるともいえます。

■電力自由化でガス会社を選ぶメリット

都市ガス会社はエネルギ-会社ですので、通信会社や旅行会社の新電力と比較すると次のような強みがあると考えます。都市ガス会社にとっては、総合エネルギ-企業として大きく伸びるチャンスでもありますが、ガス自由化を睨んだ守りの戦略も必要になります。

  • 天然ガス火力発電、コジェネレーション等の発電設備を持って、自社で安価な電力を供給できる
  • 地域のガス器具販売店が、点検や故障対応等で各家庭をサポートしており、信頼感がある
  • ガス料金と合わせたセット割を設定できる
  • 家庭用燃料電池、ガス発電等と合わせた柔軟なセットプランが設定できる
  • 電力会社と同様、エネルギーインフラ企業としての社会的責任をガス会社は自覚している

■静岡ガスの電力プラン

件は前回と同じです。表の中は年額合計以外は月額金額です。再エネ賦課金と燃料調整費は含んでいません。

条件:従量電灯B(50A) 年間4800kwh(月400kwh) 都市ガス利用、オール電化ではなく、太陽光発電等は無し

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電力量料金は中電と同額のため、安くはなりません。基本料金で若干安くなりますが、電気だけの場合は、中電のポイント還元の方が大きくなります。静岡ガスを利用していれば、セット割と早期割(2017/2月まで)で中電より月額65.7円お得になります。我が家ではガスファンヒータを使用してますので、ホット割も適用になり年間で中電の倍の3790円お得になります。都市ガス会社ならではのセット割で中部電力よりは割安感があります。電力量料金での割引が無いのは、独自の発電所が少なく、自社での供給ができない事が一因ですが、発電所の計画もあるので将来的にはたぶん安くなるでしょう。また、県東部は東京電力管内となるため、別の価格プランが用意されています。試算はしていませんが、競合の多い東電管内であるので割引率は若干多くなっていると思います。

■現時点では本命

2年間の契約縛り等の期間制限も無いので、静岡ガスを使っていて電料自由化の恩恵を手っ取り早く受けたいのであれば、静岡ガスはお勧めです。東京ガスは新電力切替のスタートで3分の1のシェア(とはいってもまだ5万件ほど)でトップらしいですが、上記の都市ガス会社の強みを生かした戦略が成功していると推察できます。消費者からすればエネルギー会社以外の企業が新電力に参入することや、エネルギーに関係のないサービスとのセット割に若干の「うさん臭さ」を感じますし、電力切替詐欺も出ているようなので、まずは信用のおける企業を選んでおくことは選択肢として有力です。ただし、現状では電力ガス料金の割引のみの発表しかありません。水回りや鍵のトラブル対応を行う「くらしサポート」や、ポイント連携といった付加価値サービスは現状では今後の発表となっています。「くらしサポート」はエネリア(静岡ガスの販売店)で同様のサービスが準備されており、定額化してメニューに加えれば、良い商材にもなると思います。検討が遅れているのか、競合の様子見なのかは分りませんが、これまで通り地域密着型の企業で頑張ってほしい所です。

■詐欺と違約金に注意

たまに訪問販売で「アナログ回線は光回線に変えないとつかえなくなりますよ」と通信会社の代理店(モドキ)がやってきますが、私はADSLで十分です。まあ、キャンペーンだなんだと、半分ウソをついて法外な工事費や押し売りをする悪徳業者が多いのですが、同様の代理店が出てきているようです。自由化は4月1日から始まりますが、電気が止まったり、必ず切り替えたりする必要はありません。じっくり考えましょう。

静岡ガスが本命なのは、契約縛りが現状では無い点です。一回目でもお話しした通り、まだプラン発表されていない新電力も多くあり、選択肢はこれからもっと増えてきます。ライフスタイルによって金額は大きく変わりますので、現状で年間契約が前提で解約時に違約金が発生するプランは、どんなに安くてもお勧めできません。

(記事中のプラン、料金計算は2016年3月時点のものです。詳細は各社ホームページ等でご確認ください)

 

 

 

電力自由化!静岡の電気はどこと契約したらよいかを考えてみる(1)中部電力

4月から電力自由化ということで、電気を購入する会社をユーザが選択できるようになります。静岡県は富士川を境に、東は50ヘルツで東京電力管内、西は60ヘルツで中部電力管内に分かれます。東電管内はガスや通信会社のほかに鉄道会社や多くの事業者が参入して選択肢も広いのですが、中電管内はまだまだ事業者は少ないようです。私は静岡市内在住なので、中電管内で検証してみたいと思います。静岡県東部の方はすみません。

電気代って基本契約と、利用料に応じた階段状の料金体系なので、条件によって金額が変わります。比較に当たっては自宅の使用量をベースに検証してみました。

条件:従量電灯B(50A) 年間4800kwh(月400kwh) 都市ガス利用、オール電化ではなく、太陽光発電等は無し

■中部電力の新料金体系

まずは、現状の中部電力から見てみましょう。最近カテエネの会員登録のお誘いが検針票と一緒に投函されてきてますが、私は今のところ保留しています。新料金体系は、カテエネポイント(1P=1円で料金支払いに使用可能)による割引額の方が大きいのでカテエネ会員に入会する事を前提としてます。上記の条件に合わせると、「おとくプラン」になります。

  • カテエネ入会で100P+Web明細変更200P
  • 年間1800円分(150円/月)をカテエネポイントで還元
  • その他カテエネサイトでのアンケート回答等で年間最大840P
2年間で合計3900円がベースで割引となり、カテエネサイトでのプレゼントやキャンペーンがあると思われます。注意点は2年間の契約前提となっている事。引っ越し等で解約する場合の違約金は不要と書いていますが、他の業者へ任意に切り替えた場合は不明です。

割引金額が若干物足りない点も含めて、様子見感が強いです。中電は原発依存度(静岡県の浜岡のみ)が低かったので、震災後の料金値上げが抑えられていた背景もあります。そのため、中電管内での新電力も料金価格だけでのメリットを打ち出しにくい地域でもあります。ちなみに、中電は東京電力管内向けの電気プランも出していますが、東電側のプランの方が割引額は大きくなっています。

また、ソフトバンクでんきが付加価値として無料で設定している、水回りや鍵のトラブル対応を行う「暮らしサポート」が月300円の有料サービスだったり、TポイントやPontaとのポイント連携が無かったり、あまり魅力を感じません。現状は電気しか売るものが無いので、他の付加価値がつけられないのは仕方がないところですが、今のところは積極的に選ぶメリットを感じないです。2年契約というのも気になるところです。

新サービスの「はじめる部」も昔役所で流行った「すぐやる課」みたいで、何をやってくれるのか分かりにくく、ネーミング含めてお役所気質を感じます。個人的には、電気料金では中電は比較基準なので戦略的にはいろいろ選択肢はあると思うのですが。例えば数年は赤字になっても、圧倒的な低価格で顧客を囲い込み、新電力がつぶれた後こっそり値上げしていくとか。それともほっといても新電力は自滅すると考えているんですかね?

■料金比較シミュレーションサイトは?

すでに価格.COMや料金シミュレーションサイトで比較できます。電気の検針票等で契約内容、使用電気量や、家族の人数、生活時間等を入力すると、会社別の金額算出を行ってくれます。今回も見ましたが、今のところは参考レベルにしておいたほうが良いです。まだ新電力の料金体系が出そろっていないので、すべてのプランがカバーできていない所や、電気料金だけの比較だけで、付加価値(ガス料金とのセット割、ポイント還元や、ガソリン代値引き等)が合算されていなかったりするサイトもあったりするので、丸ごと信じるのは要注意です。中電管内では、電気料金での直接値引き幅はどの業者でも少ない(せいぜい2~5%ぐらい)なので、自分のライフスタイルと提供される付加価値がマッチするかが選択の一番重要なポイントになると思います。まだまだ焦る必要はないです。

次回は期待の静岡ガスで検証してみます。

(記事中のプラン、料金計算は2016年3月時点のものです。詳細は各社ホームページ等でご確認ください)

シャープの買収に思う事(大学生の姪はテレビを持っていない)

シャープがFoxconnに買収されました。最終合意まではまだ長そうですが…私も家電も作っている会社に勤めていましたので、日本ブランドの海外企業による買収は、考えさせられるものがあります。ファブレス企業が、総合家電メーカを買収してうまく使いこなせるかどうかはわかりませんが、とりあえずシャープのブランド名だけは残るようですね。事業ポートフォリオの偏りや、過剰な投資等いろいろと問題はあったのかと思いますが、ここ10数年でのあっという間の転落には、急激に変化する経営環境の厳しさを感じます。私も初めてのPCはシャープのX1(テレビが映るパソコンです)ケータイからスマホまでシャープの機種は割と好きで、現在はSBの303SH。そういえば、電子手帳やザウルスも4台ぐらい使いましたね。家電はあまり使いませんでしたが。

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(Wikipediaより)

消えていく日本のブランド

オーディオ・AVでは「アイワ」「アカイ」「サンスイ」「デンオン」「AKAI」「ナカミチ」懐かしい名前ですが、無くなってしまいました。高校の時は、憧れたブランドもありましたし、大学の頃まではまだ製品があった気がします。そういえば、テクニクスは復活したそうですね。白物家電では「サンヨー」の洗濯機と冷蔵庫がハイアールになりました。私も以前の会社に入社した時は、ナショナル、ソニー、東芝等々、自社も含め日本の家電が世界を席巻していた時期でもありましたので、家電の事業部を希望していた同期も沢山いましたね。シャープだけでなくテレビ、パソコン、スマホ等デジタル家電の世界でも、日本メーカの苦戦は続いています。今回もシャープ再建案として東芝(プラス日立?)との家電事業合併の計画もあったようですが、合併しても輝きを取り戻せるかどうかはわかりません。白物家電は技術面でも成熟し、コモディティ化も進んでるので差別化がしにくい製品です。消費者も買い替え需要が殆どでしょう。そこそこの製品を各社横並びで出していれば、利幅は少なくても根強い一定の市場は確保できます。パッとした新製品が日本のメーカから出ないのも、硬直化したマーケティングが原因なのではないかと思います。ダイソンの掃除機やiRobotのルンバを購入する方は、掃除という機能に加え、製品の優れたデザインや、けなげに動き掃除を続ける姿に価値を見出しています。バルミューダの扇風機は久々に日本製品の良さを感じました。大手メーカの製品企画でのブレイクスルーも期待するところですが、家電事業は(財務上)お荷物になっていて現状維持が精いっぱいというのが実情でしょうね。

大学生の姪の話

正月に、実家で東京の大学に通う姪に会いましたが、彼女は自分のアパートにテレビが無いそうです。テレビを見る時間が無いほど、勉強とクラブとバイトに忙しいのでしょう。昔はお金が無くてテレビが買えませんでしたが、今の大学生は時間が無くてテレビがいらない生活になっているようです。PCかスマホで見てるのかと思えば、そもそもテレビ番組を見ないようです。たしかに最近の地上波番組は面白いものはないですし、ネット動画の方が魅力的なコンテンツがそろっているのかもしれません。ニュースや音楽はスマホで十分代替できるので支障はないようです。こういった若者のライフスタイルの変化で、既存のTV視聴機器の市場は、少子化と相まって縮小の一途になるのでしょう。プラズマから液晶、3Dテレビ、4Kと付加価値を付けてきたテレビですが、次は8Kになるようです。もはや一般の消費者が求める以上のスペックになりつつありますが、果たして技術革新だけで日本の家電メーカは勝てるでしょうか?

ブランド・エクイティとヘリテージ

製品がコモディティ化したので、製造コストの安い新興国に勝てない。日本のメーカが良く使う常套句です。果たしてそうでしょうか?食品や日用生活用品といった製品そのものでの差別化がしにくい業界でも、グローバルで優位に立つ日本企業も多くあります。日本の家電メーカも世界で多くのファンがいました。先進的、精密、小型、丈夫で壊れにくい、消費者に浸透した日本製品のブランド・エクイティを軽視して、直近の業績のみを追いかける経営が、日本の家電メーカを窮地に陥れています。競合相手のカタログスペックとプライスを下回るだけの製品開発ではすぐに新興国にキャッチアップされてしまいます。その企業が培ってきた思想や考え方が製品に表れ、それに共感して製品を選択する消費者を増やしていくことが、日本の家電メーカの生き残る道と考えます。また、日本メーカには過去の優れた製品たちがあります。自動車の世界では、過去の消えた車の名前が復活しています。家電の世界でも一世を風靡した製品、世界を変えた製品に敬意を表し、ヘリテージ家電として最新技術で開発したらどうでしょうか?70~80年代の日本の家電を単なるレトロ家電ではなく、ヘリテージとしてリデザインして発売したら売れると思うのですが。アイドルグループに宣伝させるより、よっぽど売れますよ。高齢化の進む日本市場では、消費者の懐古趣味も含めてうけると思うのですが。