自分は営業に向いていない」とあきらめる前に【第2回】営業職は数字がすべて?

第2回は営業職にとっては切っても切れない(数字)の話です。営業職以外でも、数字目標(例えば人事部だと新卒の採用数とか、資材部だと仕入価格低減率とか)を持っている部署はあるでしょう。それでも、営業職の持っている数値の厳しさは、数値をクリアできる営業は優秀、できない営業はダメ営業とはっきりと評価されてしまうことでしょう。どんなに上司の覚えが良くても、社内の人間関係が良好でも、肝心の受注が獲れなければ、営業職での昇進は遅れたり、できなかったりするのが普通です。その人の人間性や、仕事のプロセスの評価はされず、予算の達成率だけで評価される営業職。書いてるだけでもイヤになってきますね

営業はノルマに追いかけられる

受注額、契約数、利益率、新規開拓数といったところが営業の目標数字=ノルマでしょう。不景気や、ライバル会社との競争に打ち勝ってお客様からこれらの数字を勝ち取ってこなければいけません。当然月別、期別、年度別の達成率が社内で厳しくフォローされ、未達成だったりしようものなら、定例報告会議の席上で、幹部や上司から叱責されたりします。(大抵、大声出すのは、営業経験のない幹部ですけど)既存顧客や代理店を相手にするルート営業の場合は、数字の変動が無く、注文取りや納品がメインで、お客様の信頼を維持する事の方が重要なので、数字のプレッシャーは若干軽減されますが、新規開拓営業は大変です。一生懸命やっていても、数字ができなければ、”あいつは仕事をさぼっている”なんて疑いがかかったりします。出来高制の給与体系だったりしたら、給与は下がるわ、怒られるわで踏んだり蹴ったりです。うーん、また書いていてイヤになってきました。

営業の数字に潜む会社の楽観主義と精神論

さて、なんで数字が未達成になるか?一つの要因は<もともと無理な数字>ということが良くあります。会社全体の方針と経営指標における数値目標が定められ、それに対し会社の各部門の目標が決まっていきます。ところが、社長が「3年後に利益を倍にする」と言い出せば、短絡的に<売上を2倍にすれば利益は2倍>ということで、めでたく営業部門の受注目標が2倍になります。営業部門は「市場環境が悪い」「営業要員が不足している」等々はかない抵抗を試みますが、大抵は「為せば成る」幹部に押し切られて目標数字を受け入れる羽目になります。他部門は(社長が言い出して大変だねぇ~)と同情はするものの、「受注は営業の仕事」と言わんばかりに、ほっかむりを決め込みます。

本来は効率的な社内事務による経費削減や、魅力的な製品の開発や仕入れ、営業人員への配置転換等でも利益率は上げられるので、各部門にそれぞれ目標数字があるはずなのですが、営業の数字だけが上がることになります。営業の幹部には、「ハードルは高ければ高いほどやりがいがある」という体育会系ノリと、「そのうちなんとかなるだろう」という植木等ノリの方々も相変わらず多くいるので、あっさり数字を引き受けちゃったりして、根拠のない無茶な数字だけが営業部門に課せられることになります。そして、上から降ってきたノルマの上積分については、各部署の営業人員数で頭割りして分配されたりします。飲み会の支払いじゃあるまいに…。

無理な数字とはいえ、理解は必要

極端な例だったかもしれませんが、程度の差はあれ、営業部門の目標数字は大抵実力以上の要求を会社側から求められるケースが多いです。ただ厳しい経営環境の中、会社の目標として市場やシェアの維持拡大は会社が生き残っていく上で重要であり、目標達成のためには、直接お客様と接する営業が大きな役割を担っていることだけは、理解しておくべき事です。本来は、営業の目標数字は、営業部門だけでなく会社として共有され、全社的に営業に対するバックアップが行われるのであれば、営業の数字も”前向きな期待値”となる数字です。営業担当者に与えられた”無茶な数字”も、”できるかもしれない数字”に変わっていく可能性はあります。この辺りは経営層の戦略や組織の問題なので、別の機会にでもお話ししたいと思います。

自分の数字を持つことが大事

目標管理制度等で、成果評価を行っていく会社も多いと思います。当然定量的な目標は会社から与えられる数値目標がベースになると思いますが、個人として目標とする数字は自分で決めてみることをおススメします。この時、前年プラス5%とかエイヤで数字を決めてしまっては、経営層と同じです。自分が担当する地域、製品、顧客の業種、年齢層等々を調べ、マーケットの景況感や営業活動で知りえた情報をもとに、自分がどれだけ契約できるのか?どこまで頑張れるかのチャレンジ分を加味して、自分の数字で持つことが大事です。組織目標とのギャップが出るとは思いますが、言われたからやるのと、自分で決めて目標とするのでは、モチベーションは大きく変わります。達成度が数字でわかりやすいことはメリットになりますから、自分の数字の達成度をPDCAサイクルで確認していけば、俄然営業は楽しくなってきます。

 

次回に続く

 

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