第1回の各項目をもう少し詳しく書いていきましょう。
今回は「①簡潔にかつ必要事項を必ず入れる」です
資料の目的により、必要な情報は異なる
事業計画書、報告書、製品やソリューションの提案等資料の目的もいろいろあり、その目的によってエグゼクティブサマリーに必要となる内容と網羅性は異なるでしょう。報告や研究発表等であれば、既に結果の出ている内容や、大量のデータをわかりやすく要約するのが一番ですし、事業計画書や提案書であれば、相手に伝えたい事、お願いしたい事が簡潔に伝わるかが最も重要になります。
また、提出先が、社内なのか社外なのかでも、変わってきます。社内の場合は、相手は良く知っている人間ですし、伝える内容における前提や課題も共有している事が多いと思います。エグゼクティブサマリーにおける前段の説明は簡潔にすることができ、本編の割合を増やす事ができます。ただし、内容に対する質問や興味の深度も深いものになる場合が多いので本編とのリンクはきちんと整理しておいた方が良いでしょう。一方、社外の場合は、初見の相手に説明するケースも多くあります。内容の前提や、説明者や会社の紹介なども必要になることもあるでしょう。その分本筋に割ける資料スペースも時間も減りますので、より簡潔にまとめることが大切になってきます。
相手によって、資料のトーンを変える。
ビジネス資料には必ず提出先があります。社内の会議資料や、社外でも不特定多数に向けた資料の場合は、誰にでも理解できるよう情報を整理し、要約していく事になります。一方、提案や企画書におけるエグゼクティブサマリーの場合は基本的には特定のキーマン、相手の意思決定者から理解を得て納得させる、いわゆる”ササる”資料が効果的です。
”ササる”資料には何が必要でしょうか?それは、相手の情報です。営業職であれば、提案の前には様々な情報を相手先から入手していると思います。”回りくどい説明を嫌う”とか”データで裏付けされていないことは信用しない”等々のキーマンの好みを踏まえて、資料全体が相手に受け入れやすいトーンにすることが必要です。ここで言う”トーン”は説明しにくいのですが、実際の資料の色調とかではなく、資料全体で相手が受ける”印象”や”雰囲気”ととらえてもらえれば良いかと思います。理路整然、事務的で冷たくすら感じる資料が”ササる”場合もあれば、”努力・友情・勝利”のような少年ジャンプ風熱血資料が”ササる”相手もいるでしょう。
社内であれば、気にいらないサマリーは、上司が優しく指摘してくれるので良いのですが、社外の場合は案件の予算や、条件等と合わせて、エグゼクティブサマリーを作成するためのネタを意識して集めましょう。差し障りの無い範囲で、相手先の会社の社内資料のまとめ方を参考にさせてもらったりすることもお勧めです。他の相手に対して、今までに成功したエグゼクティブサマリーを流用したり、社内のテンプレートを使用する場合も多いかと思いますが、相手に合わせてカスタマイズしていく事で、相手に”ササる”確率は上がります。
情報の絞り込みを行う
資料ボリュームはA4で2枚、A3で1枚を目標にします。テキストで伝える内容、図や表で伝える内容を絞り込んでいきます。別の回でも書きますが、図表の活用はエグゼクティブサマリーでは大きなポイントですので、テキストのみで伝える内容は限られてくるはずです。伝えたい内容をキーワードや短文にして書き出し、優先順位を付けて整理するやり方もあります。
この時に、帰納法的な考え方(様々な事象や事実をあげて、共通する結論を導き出す方法)だと、情報量が多くなり、結論がぼやける感じがします。演繹法(一般的な大前提→小前提→結論、いわゆる三段論法)で考えた方が相手にメッセージも届きやすく、コンパクトにまとめやすいと思います。ただ前項で述べたように、資料のトーンは相手の好みや、その会社独自のルールもありますので、ご参考までに。
隠し事やウソはダメ
情報の優先度をつけていくと、お願いしたい事、伝えたい事でスペースが埋まってしまい。都合の悪い情報は優先度が下がり、エグゼクティブサマリーから抜けてしまう事もあります。相手は重要な意思決定を行うための情報をエグゼクティブサマリーに求めていますので、意思決定の判断に重要な影響を及ぼすネガティブな情報を(故意ではないにしろ)抜いてしまうと、それを隠したと受け取られ、信頼を失います。また、エグゼクティブサマリーに、本論とかけ離れていたり、書いていない内容を記載することはウソになってしまいます。相手に”ササる”事だけを意識して、ついつい美辞麗句を並べてしまわないように注意してください。
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